地球を巡り、心を探る

認定心理士、ときどき旅人、たまに画家。

【学習意欲の心理学】なぜ、きみは勉強するのか?

子どものころ、

高校、大学の受験を控えては、
塾や予備校に通い、勉強漬けの日々でした。

そのかいあってか、
僕は、自分の望む進路に進むことができたけども、

「なぜ、こんなに苦しい気持ちなんだろうか」と、

両親や教師、社会に対して、
大きな不満を抱いていたのを覚えている。


しかし、「教育心理学」を学んで、
このもやもやとした気持ちが、少し晴れてきました。

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どくしょ


なぜ親子はすれ違う? 〜内発的動機付け〜

僕は、学校の成績はけっこう良くて、
校内で注目されるくらいではあった。

だから、親はすごく喜んでいた。


けれども、そんな親の姿を見ていて、
なぜだか、僕の心は、どんどん寂しくなっていくのでした。


この時、僕の心に起きていたのは、
内発的動機づけ」というものでした。


簡単に言うと、
「学ぶことそのものを楽しんでいる」状態です。


親の喜びに違和感を感じたのは、おそらく、

この概念が親にはなかったか、あるいは、
当時の価値観「学歴社会」が根強かったからではないかと思います。

つまり、喜びの観点が違かった。


僕は、未来のことや、世間体のことなんて考えてなかったですし、
大人たちの期待の経緯も知らないですし、

親戚に自慢する気持ちも、
友達と頭の良さを比べるつもりもなく、

ただ、純粋に、学ぶことそのものを楽しんでいたのです。


では、この「内発的動機づけ」に従い、
子どもの内なる好奇心に任せていれば、

親子のすれ違いを防いだり、
子どもが進んで勉強するようになるのでしょうか。


きっかけは外発? 〜学習動機の二要因モデル〜

内発的動機づけに対して、

「報酬」や「賞賛」、「叱責」などをきっかけに行動することを
外発的動機づけ」と言います。


かつては、この外発的動機づけが重視されていましたが、
1950年代以降は、内発的動機づけが注目されるようになりました。

そして最近では、

この外発と内発の関係を
もう少し深掘りして、体系化した

学習動機の二要因モデル」(市川,2001)が提唱されています。

このモデルでは、潜在する動機は6つあり、
その大きさの違いで「内発」か「外発」の特徴が現れるとしています。

以下が、6つの動機です。

  1. 充実志向:学習自体が楽しい
  2. 訓練志向:知力を鍛えるため
  3. 実用志向:仕事や生活に生かす
  4. 関係志向:他者につられて
  5. 自尊志向:プライドや競争心から
  6. 報酬志向:報酬を得る手段として

これらは、「学習内容の重要性」と、
「学習の功利性」(≒実用性)の2軸で以下のように分布します。

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例えば、「訓練志向」は
どちらかというと内発的ではあるものの、

実用性の認識が「充実志向」よりも強く、
外発的な影響を多少受けています。

つまり、

学習意欲の動機は、「外発」と「内発」の2極論ではなく、

複雑な志向のプロセスを経て、
外発的だったり、内発的だったり、その中間の状態だったりする

と言えそうです。


また、「学習意欲がなかなか出ない」という人に対しては、
勉強の入り口として、外発的な動機づけが有効とも述べられています。

ただし、内発的動機付けの状態で、報酬を与えてしまうと、
外発的動機づけに転化してしまう(減衰効果)ので、ここは注意が必要です。

詳細は、「学ぶ意欲の心理学(市川,2001)」を参照ください。


僕自身は、学問に対して「内発的動機づけ」が起きたけども、
学校のテストや、友だちとの競争、面白い先生の存在など、

たしかに、外発的な影響は全くなかったとは言えなそうです。

思えば、僕は早生まれのせいか、
当時のモテ科目「体育」の成績が良くなかった。

その悔しさの反動だった部分もあった気がします。

まとめ ~なぜ、きみは勉強するのか?~

僕自身、「内発」と「外発」の2極論でずっと考えていました。
学びが楽しいから、学ぶのだと。

けど、その入り口には、
外発的な影響が少なからずあったように思います。

ゲームやネットなどの誘惑も増えてきた時期だったので、
依存症を防ぐためにも必要だったのかもしれません。



当時はまだ、なぜ勉強するのか、
親子ともにわかっていなかったけど、

例えば、この「学習動機の二要因モデル」を使えば、
今、子どもがどの段階にいて、
どんな気持ちなのかを、推察するヒントになり、

喜びの共感」に近づけるような気がします。


ちなみに、僕はその後、大学院で
「生命の起源」について学び、

今は、「人とは何か」について学んでいる。


文・絵:heartpainter_m(Instagram)