地球を巡り、心を探る

認定心理士、ときどき旅人、たまに画家。

【成長の心理学】大人になっても脳を成長させる条件

去年、大学で心理学を学んだ中で、

励みになりつつも、
努力しなきゃいけないなと思ったのが、

「大人になっても脳は成長する。ただし、ある条件のもとで。」

という知見でした。

具体的には、「生涯発達心理学」というものです。

成長の兆しは「葛藤」である

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しょんぼり…



かつて、人の成長に関する研究は、

身体的な成長、つまり、
「成人になるまで」が主な対象だったのですが、

1960年代ごろから、
成人期以降の「心理的な成長」にも注目されるようになりました。


一例として、
アメリカの心理学者エリクソンが提唱したライフサイクル論があります。

簡単に言うと、

  • 人生には、死ぬまでに8つの発達段階がある
  • それぞれの段階で、心理・社会的な危機(発達課題)に直面する
  • その危機を克服したとき、心理的な成長を獲得する

というもので、

例えば、「前成人期(20~30代前半)」は、

———
「誰かと親密になる」経験と、
それに対立する「孤独になる」という双方の経験から葛藤し、

これを乗り越えた時、「愛」を獲得する。
———

とされています。


つまり、葛藤があってこその成長なんですね。


よく悩んでしまう人とか、不安を感じやすい人とかは、
成長の段階に踏み込んでいるということで、

それ自体は前向きに捉えて良いんじゃないでしょうか。(悩んで正解!)


(エリクソンの8段階について詳しく知りたい方は、
「エリクソン ライフサイクル論」と検索してみて下さい。

書籍はこちらがおススメです→生涯発達とライフサイクル


悩むことから逃げると…


「悩む」というのは、しんどいです。


「なんで、あの人は、あんな酷いことを言うのだろう…」

「なんで、私のことをわかってくれないのだろう…」


今まで体験したことのないストレスですから、
逃げたくなります。


このとき、やってはいけないのが、
快楽をもとめて、中毒性のあるものに手を出すこと

長時間のゲームや、暴飲暴食、爆買い、やけ酒、人への依存、などなど。


現代、人の欲望を満たすものは、
簡単に手に入るようになりました。


それらは、一時的にストレスを忘れさせてくれるのですが、

「辛くなったら、快楽に手を出せばよい」と、
条件付けされるリスクがあります(オペラント条件付け)。


こうなると、

悩む→快楽に手を出す→また悩む→また快楽に手を出す

と、ループにはまり、
問題解決からどんどん遠ざかっていきます。


このループを断ち切るには、
「悩みを進める」ことです。ただし、「あるところまで」


「悩みすぎ」は危険 ~「葛藤」を乗り越える方法~


記憶の仕組み上、
何か一つのことを考えると、それに関連した記憶が次々に引きだされ、

どんどん頭の中で連想ゲームが始まっていきます。(連想記憶)


このとき、「べき思考」や「全か無か思考」と呼ばれる、

自動思考(考え方のクセ)が強く働くと、

「私には才能がなかった…」「ぜんぶ私のせいだ…」
「いや、あいつがあんな性格だからだ」「あいつら皆、頭が悪いんだ」

と、抽象的で、否定的な結論を出してしまいます。

こうなると、人を傷つけるだけでなく、
自分のことも、どんどん傷つけてしまいます。


僕もそうなのですが、この傾向は、
特に内向型の人にありがちなパターンです。

(ただし、内向型は悩みやすい=成長の起点に立ちやすい、とも言える)



これを防ぐには、

先ほどの連想思考や自動思考を制御することです。

このような思考は、たいてい、

凝り固まった経験則や価値観(厳密には、心理学用語で「スキーマ」)から生じます。


でも、その経験則が通用しないから、葛藤が起きるのです。


だから、
「自分の経験則にはない、新しい方法」を少しずつ試していくしかないんです。


もし、失敗を笑う人がいたら、
その人は悩んですらいない、成長しようとしてない人だから、放っておけば良い。

失敗を見守り、それとなく支えてくれる人がいたら、
その人は大切にしましょう。

もちろん、成長に一歩踏み出した自分のことも、褒めてあげましょう。


まとめ ~大人になっても脳を成長させる条件~

以上をまとめますと、

  1. 悩むこと
  2. 新しい方法を試すこと

こそが、心理的な成長に必要な条件と言えそうです。

(加えて、「気質の分析」をすると、
これらに取り組みやすくなります。詳細はまたいつか。)


なんとなく、自信過剰な人や、
見栄っぱりな人が怪しく見えてしまうのは、

悩んでもいないし、挑戦してないから、なのかもしれません。


昔は、それでも良かったかもしれないけど、
価値観の変化が激しい、今の時代においては、

「成長」こそが、最も重要なスキルなんじゃないかと思います。


写真・絵:heartpainter_m