Mの旅日記 〜アラサー社会人の冒険〜

都会と社会と仕事から逃げるように始めた、アラサー1人旅の記録です

慎重・繊細・孤独・良心、そして宇宙への感動。全てを合理的に説明できる”HSP”という気質について

心理学の本をいくつか読んでいて、人の気質に関する面白い発見があったので、まとめてみました。

それは、「HSP(Highly senstive person)=とても敏感な人」という人の生まれ持った気質のことで、これによって、僕自身が普段の生活の中で感じていた生きづらさや、旅の中で感じていた感動を上手く説明することができるようになりました。
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HSPとは

まず、僕が感じていた「生きづらさ」に、「人がたくさん集まって騒いでる場所にいると、とても疲れる」というものがあって、例えば「飲み会」があります。

疲れるし、出費も痛いし、メリットが何もないので出たくないのですが、
「断ったら悪いだろうな・・・」なんて無理しちゃって参加したときは、30分後くらいには、居心地の悪さが限界になって、すごいイライラしてくるし、思うように発言できなくなります。

やっとの思いで家に帰ると、ぐったり疲れてしまって、翌日も気分は優れず、仕事もやる気がおきません。


次は、旅の中で感じていた「感動」なのですが、
これは「美しい自然や愛らしい動物、広い宇宙を見ると、とても幸せな気持ちになれる」というもので、僕が旅に出たくなる原動力になっています。
ただ、その気持ちをうまく説明できないかったので、「なぜ星空を見に行くの?」と聞かれると、いつも困っていました。


この2つの、全く関係のない悩みが、HSPという気質によって説明できました。

HSPとは、その名(とても敏感な人)のごとく、「自分を取り巻く環境から発せられる信号や刺激(人の表情など目に見えるものから、電磁波など目に見えないものまで)を、無意識で受け取る能力(感受性)が高い、敏感な人」です。

その感受性は、普通の人が気づかない、何気ない自然風景に感動できるなど、良い面がある一方、
多くの人の表情や感情、人工的な音・光を普通の人よりも多く受け取ってしまい、脳をパンクさせ、消耗させるという側面があります。

HSPの特徴

HSPの概要に触れましたが、HSPの人に見られる特徴をざっと挙げてみます。

  • 人がたくさんいる場所を避ける
  • 一人の時間を大切にする
  • 初対面の人をとても恐れる
  • 知人・友人をあまり多く作らない
  • 数少ない親友を大切にする
  • 根が優しい
  • 植物や動物を育てるのが好き
  • 自然が好き
  • 自分の世界に没頭する
  • 慎重でよく考える
  • 決断の前にあらゆる手段を考える
  • 仕事のミスが少ない
  • クヨクヨしやすい
  • あまり喋らない
  • 心が繊細で傷つきやすい

いくつか挙げましたが、これは自分の性格として自覚していることだったり、よく人に言われたことでもあります。

調査によれば、5人に1人が、このHSPだと言われています。けっこういるんですね。
そんなにいるようには思えないのは、このHSPの人が、HSPでない振りをして生きていること、あるいは、そうでないように人格を矯正されたことによるそうです。

・・・たしかに、なんか無理して生きてるな、という人はチラホラ見かけます。

社会で生きるのが大変なHSP

自己主張がしっかりできて、ストレスにも動じない、言葉のキャッチボールが得意な人が優れた人材だとされる風潮が、今の社会にはあると思います(特に男性)。

実際そういう人は管理職に多く、表舞台に立つことも多いので、有能なイメージが世間一般にあると思います。クラスの人気者や、モテる人、カリスマ、などなど。

なので、それとは正反対の性質を持って生まれることは、社会の中で生きていくには不利とされてしまうんですね。
だから、幼少期にそのような性質を示せば、親や先生からは心配され、「もっとしっかり主張できるようになりなさい」と言われ、性格を矯正するような躾をされることもあったりします。


実際、僕自身も、自分の性格が今の社会を生きていくのに不都合だと思い、後ろめたさや劣等感を感じることもありましたね。
なので、そういう理想の社会人になるために、必死になってたところもありました。

多少はその甲斐もあり、人前で喋ること、動じない振りをすること、高い専門技術を身につけることができるようになりましたが、「できる人」と呼ばれる人を見ると、まだまだ及ばない性質がいくつもあり、それを克服しようと思うと、吐き気がするくらい限界を感じていました。

HSPが傷つきやすいこと

上記にあげた性質のために、HSPの人は、何気ない人の振る舞いで、傷ついてしまうことがあります。

家庭

人が生まれてから一番最初に所属する社会集団「家族」。もし、HSPの子供が家族にいた場合、親が多様な個性について理解していないと、悲劇を生む可能性があります。

例。

  • 親や親戚が、子供の失敗談や恥ずかしい話をネタに、ゲラゲラと笑い声を上げて盛り上がる
  • 受験のとき、親が子供の志望校に口を出したり、勉強しろと怒鳴ったり、怒りをぶつける
  • 親が 「どこ行ってきたの?」「何食べたの?」「誰と遊んだの?」と毎日のように子供に問い詰める
  • 子供が自ら挑戦しようとしたことに対し、親が危険を感じたために、その挑戦の手段を隠したりする

親にとっては、ただの雑談、子供自慢、保護のつもりかもしれませんが、HSPの子供にとっては、「裏切り」「監視」「支配」であり、不快な思い出として、脳裏に強く記憶されてしまいます。

特に、第二反抗期以降の過保護は、親が思う以上に何倍も危険な接し方であり、HSPの子供は、親とすれ違いを起こしやすくなります。そして、表には出さずとも、内面には大きな怒りが蓄積してしまい、それは心の傷となり、修復困難になってしまいます。

もちろん、この逆、親がHSPで、子供の騒がしさに耐えられず、不幸を招くパターンもあるとのことです。

学校

弱々しい雰囲気を醸し出すHSPの人は、いじめに合いやすとされます。
ただ、そのとき守ってくれる仲間がいた場合、その人とは良好な関係を築ける一生の友人になれる可能性もあります。

  • 普段は仲の良い友達が、体育や部活動などで、悪質なファールをしてくる
  • 教師が、お前は運動音痴だ、頭が悪い、そんな部活できるわけない、とからかう
  • 進路相談しに行った先生が、子供の夢をバカにして、全く相手にしない

などなど。

味方と認識している先生の言葉に傷つけられることは大きなショックとなります。
特に、子どもは自分の気持ちを上手く言葉にできないでの、発散したり相談したりすることが上手くできず、その傷を長く引きずることになってしまいます。

会社

人は社会に入ると、人材の競争に直面し、強い劣等感を抱く場合があります。
そのために、人の期待に応えようと、無意識的に自分の本心を殺してしたりします。

また、社会には、理不尽な側面や偏見があり、差別的な嫌がらせを受けることもあり、これによって、二次障害が発生することがあります。

  • 魅力的な役割だと伝えた仕事が、実は、良心を利用した責任転嫁だった
  • 仕事の同僚が突然キレだして、誹謗中傷の言葉を浴びせてきた
  • 他人の手法に、ああした方が良い、こうした方が良いと口うるさく言う

仕事の現場には、悪しき風潮や文化が根強く残っている場合があるので、これを変えるのはかなり難しい作業です。辛い時は、無理せず、異動・退職・転職の決断をしましょう。

HSPが感動しやすいこと

HSPは、多くの生きづらさを経験してしまう一方で、すごく小さな、些細なことに感動できる一面があります。

学業

HSPは、自分の内面と向き合い、一人の時間を大切にするので、
勉強に集中できる環境があれば、学業の成績が上がりやすい傾向があるそうです。

僕の場合は、美術や理科が得意だったのですが、この傾向も、HSPで共通のようです。

私生活

子供の頃には、誰もが感動する部分があるかもしれませんが、大人になっても、同じような気持ちになれるのがHSPの特徴だったりします。

  • 川で捕まえた魚やエビを水槽に入れて見ると、その姿が美しくて感動する
  • 飼ってる魚や昆虫が成長して、子供を産んだり育てると感動する
  • 猫や犬がよく甘えてくる

嘘をつかない動物とHSPとの相性は良いような気がします。

僕の場合ですが、自然が多く残っている地域を旅していると、多くの感動的な場面に遭遇します。

  • きれいで奥行きのある天の川を見ると、心から雑念や邪念がふわーっと消える感じがする
  • 宿やお店で出会った人と言葉を交わすと、すごく安心して、優しくなれる
  • ゲストハウスで会った人と、お互いの旅の話をすると、本心で共感できて嬉しくなる
  • カーテンのようにゆらゆらと揺れるオーロラが、頭上に現れ、全身が魔法で包まれたような感覚になった

大事なのは、このような感動を大切にすることなのだと思います。
たとえ、周囲に笑われたり、理解してもらえなくても、自分がどんな瞬間に感動できたのかわかっていれば、それを生き甲斐にして、人生を幸せな方向に変えていくことに繋がるのだと思います。

子供のうちは、感動を大切にするなんてことは難しいかもしれないので、親や友人が一緒に感動したり、喜んであげることで、子供は自分の感情を肯定できるようになり、自信につながっていくと思います。

これから、どう生きていくか

HSPという言葉を知った当初は、自分の行動や悩みをズバズバと当てられてしまった衝撃に、怖さや悲しみを感じました。
しかし、社会が理想としてる「できる大人」「できる社会人」「できる男」を無理して目指さなくて良いんだとわかって、少し安心しました。

そして、これからの人生を少しでも幸せな方向に変えていけるように、いろいろとトライしようと思います。

無理をしない勇気

HSPの書物を一通り読み終わって、真っ先にやろうと思いついたのが、「無理をしない勇気」でした。
もう少し具体的に言うと、「正直に、自分の言葉や行動で断る勇気」です。

空気を読みすぎて、相手に合わせるあまり、自分に無理をしていたことが、多々あったなと反省しました。
飲み会への参加もそうでした。

それによって、周りにも自分を誤解させてしまったように思います。
なので、「自分はこういう人間なんだ」というのは、ちゃんと言ったり、行動で示さないとダメなんだと思います。


仕事や人付き合いも同じだと思います。

日本は未だに、残業する人=仕事ができる人、結婚できなければ人として欠陥がある、正月は無理してでも親戚と顔をわせる、という苦行を美化したり、一方通行の人生しかないんだ、という風潮が残っています。

みんながそうしてるからと言って、それに合わせていたら、いつまで経っても、悪しき文化は変わりません。
自分が嫌だと思うことをちゃんと知って、「それは傷つくからできない」と主張していきたいです。

場合によっては、理解してもらえないかもしれません。
相手の反応によっては、傷つくかもしれません。

それでも、自分を守るために、トライしていきたいです。

科学的知識を学ぶ

HSPは社会の認知度が低く、多くの人にとっては、理解できないものです。

なので、自分が本やブログなどで多少なりともHSPの知識を身に着けて、それをそのまま人に話しても、

「漫画の見すぎじゃないの?」
「第6感?ぷっ・・・!」
「超能力?バカじゃないの?」

と、迷信やオカルトのように捉えられてしまって、受け入れてもらいない場合があります。


これは、通常のコミュニケーションでも起きるのですが、
「伝え方」や「接し方」を工夫しないと、なかなか理解してもらえません。

その工夫の一つに、僕は「科学的知識を身につけること」があると思ってます。

聴き手がわかるように、具体的な事例やデータを示したり、論理的な説明ができれば、前提知識のない人でも理解できる確率が上がると思います。
ということで、僕自身は大学で勉強を始めることにしました。詳しくはこちら↓
planet-odyssey.hatenablog.jp

ただ、これはとても労力がいるので、実際に興味をもって勉強している人や学者と関係をもつのも手だと思います。

社会は良い方向に変わり始めている

少しずつではありますが、個人的には、HSPにとっても生きやすいように、社会が変わってきているように思います。

それは、インターネットの力によるものが大きいでしょう。
特にSNSは、一人で過ごしつつも、人と繋がる機会を提供してくれます。
また、差別的発言や行動、不正行為なども、SNSですぐに拡散されてしまうので、権力者が横暴に振る舞うようなことがしにくくなっているように思います。

他にも、映画や音楽のデジタル配信、電子書籍など一人で余暇を楽しめるサービスが増えてきました。

また、スマートフォンの普及で、旅をしやすくなったことも好都合だと思います。
自然が残る孤島や海外にだって、簡単に行けてしまうので、これを使わない手はないでしょう。
最近、一人旅の方が増えているのも、このためだと思います。

自分に無理せず、幸せを求めて生きていきたいですね。

HSPの人・HSPを理解したい人におすすめの本

最後に、僕が実際に読んだ書物を紹介します。
最初は自己啓発を目的に読んでいたので、ビジネス書が多かったのですが、徐々に心理学の書物を読むようになりました。

ビジネス書

「なんだか生きづらい世の中だな〜」と思い、僕個人の性格に照らし合わせて読んだ自己啓発本です。

  

アドラー心理学

最近話題のアドラー心理学。
僕も「話題になってるから読んでみるか〜」程度の気持ちで読みましたが、社会生活や対人関係における学びがありました。

 

米国の作家 スーザン・ケイン

この人のTEDトークはとても有名になりました。
www.ted.com

これにより、「内向型」や「HSP」という言葉が、世間に知れ渡るようになったと思います。
研究も大事ですが、このような啓蒙活動も大事ですね。この人にはぜひ頑張って欲しいです。

カナダの心理学者 エレイン・N・アーロン

HSPの提唱者。この人の研究成果が発端となり、スーザン・ケインさんの活動につながりました。
この方のウェブサイト(Are You Highly Sensitive?)では、HSPの診断テストを受けることが出来ます。僕は、27項目のうち、25個が該当しました。

 

デンマークの心理療法士 イルセ・サン

「鈍感な世界に生きる敏感な人たち」では、心理学者アーロンさんのHSP診断テストを、さらに回答しやすく再編集した、HSP診断テストが巻頭にあります。
テストは全部で48の質問があり、点数は、最低-52から最高+140まであり、60以上でHSPの可能性があるそうです。僕は108点でした。

 

日本の精神科医・心理学者の書物

日本向けに出版された本なので、読みやすいものが多いです。入門書としておすすめです。

     

その後の勉強・活動について

HSP含め、人の様々な気質について知るため、本格的に心理学を学んでいます。学んだことや活動したことは、主に、こちらのnoteで公開しています。(2019.5.12 追記)
note.mu