読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

地球探訪

都会人が行く、地球冒険の旅

慎重・繊細・孤独・良心、そして宇宙への感動。全てを合理的に説明できる”HSP”という気質について

僕が、この世界に生まれて30年弱経ちました。
家族との生活から始まり、学校に通うようになり、やがて研究に明け暮れ、会社に就職して仕事をするようになりました。

その中で、「ある生きづらさ」と「ある感動」を感じていましたが、その正体はわからなかったので、誰かに説明することはありませんでした。
しかし、幸いにも、自分の「読書好き」が功を奏し、「HSP(Highly senstive person)=とても敏感な人」という気質にたどり着きました。

HSPとは

これにより、自分の感じていた「ある生きづらさ」や「ある感動」だけでなく、自分のあらゆる行動原理を説明することができるようになりました。

その衝撃は、例えるなら、30年解くことができなかった、100個の数学の問題を、たった一つの方程式で解いてしまったようなものです。

では、「ある生きづらさ」とは何でしょう。一つ例を上げます。

大人数の飲み会は、とても疲れるので、できれば出たくないのですが、何となく、断りづらい空気を感じて、本心に反して参加してしまったりします。
実際、参加してみると、30分後くらいには、居心地が悪くなり、言葉を発することが難しくなります。
やっと家に帰ると、もうぐったり疲れてしまって、次の日も気分は下向きで、仕事もうまく出来ません。
断る時もあるのですが、「疲れてしまうから」と言うと、「空気の読めない奴だ」「愛想の悪いやつだ」と思われるような気がして、「予定があるから」と適当な嘘をついたりしますが、嘘をついたことが虚しくなったりします。

これは、僕の脳内で、よく再生される悩みです。
しかし、「なぜ、疲れるのか」わからなかったので、誰にも説明することなく、脳内に留まったのだと思います。

もう一つ例を上げますが、今度は「ある感動」について。

僕は、星空を見たり撮影するために、旅に出かけるのですが、
ときどき、「なぜ星空を見るの?」と聞かれます。
「何かを感じるんだ」と言っても、相手は「何言ってるんだろう、この人」みたいな表情になるので、「感動するから」「ストレス解消できるから」と言っています。そのほうが、その後の会話がスムーズに進むのです。
でも、たまに、この感動に共感してくれる人に出会います。それは、旅の中で出会う、同じく一人旅をしている人に多いです。

これも、僕が感じている「何か」の正体がわからなかったので、説明に困った例です。

この2つの、全く関係のない悩みが、HSPという気質によって説明できました。
HSPとは、その名(とても敏感な人)のごとく、「自分を取り巻く環境から発せられる信号や刺激(人の表情など目に見えるものから、電磁波など目に見えないものまで)を、無意識で受け取る能力(感受性)が高い、敏感な人」です。

その感受性は、普通の人が気づかない、何気ない自然風景に感動できるなど、良い面がある一方、多くの人の表情や感情、人工的な音・光を普通の人の何十倍も多く受け取ってしまい、脳にダメージを与えるという、その人を苦しめる側面があります。

HSPの特徴

HSPの概要に触れましたが、HSPの人に見られる特徴をざっと挙げてみます。

  • 人がたくさんいる場所を避ける
  • 一人の時間を大切にする
  • 初対面の人をとても恐れる
  • 知人・友人をあまり多く作らない
  • 数少ない親友を大切にする
  • 根が優しい
  • 植物や動物を育てるのが好き
  • 自然が好き
  • 自分の世界に没頭する
  • 慎重でよく考える
  • 決断の前にあらゆる手段を考える
  • 仕事のミスが少ない
  • クヨクヨしやすい
  • あまり喋らない
  • 心が繊細で傷つきやすい

いくつか挙げましたが、これは自分の性格として自覚していることだったり、よく人に言われたことです。

調査によれば、5人に1人が、このHSPだと言われています。けっこういますよね。正直そんなにいるようには思えないでしょう。
それは、このHSPの人が、HSPでない振りをして生きていること、あるいは、そうでないように生きるよう矯正されたことによるのだと思います。

現代社会とHSP

今の社会は、自己主張がしっかりできて、ストレスにも動じない、言葉のキャッチボールが得意な人が求められています(特に男性)。

実際そういう人は管理職に多く、表舞台に立つことも多いので、有能なイメージが世間一般にあります。
クラスの人気者や、モテる人、カリスマ、なども、その部類の人ですね。

したがって、それとは正反対の性質を持って生まれることは、社会の中で生きていくには不利とされます。
なので、幼少期にそのような性質を示せば、親や先生からは心配され、「もっとしっかり主張できるようになりなさい」と言われ、性格を矯正するような訓練をされることもあります。

実際、僕自身も、自分の性格が今の社会を生きていくのに不都合だと思い、後ろめたさや劣等感を強く感じていました。
なので、そういう理想の社会人になるために、必死に努力しました。
多少はその甲斐もあり、人前で喋ること、動じない振りをすること、人並以上の技術力を身につけることなどはできるようになりました。
しかし、「できる人」と呼ばれる人を見ると、まだまだ及ばない性質がいくつもあり、それを克服しようと思うと、明るい未来が見えず、限界を感じていました。

これは、僕に限らず、HSPの人が真剣に悩んでいることだと思います。
幸いにも、この研究や啓蒙活動が行われるようになり、生きづらさの解消になるヒントが提唱されています。

辛かったこと・傷ついたこと

自分がどんな場面で辛い気持ちになったり、心に傷を負ったのかを知ることは、生きづらさ解消の一歩です。
これを放っておくと、脳にダメージを蓄積してしまい、2次障害(鬱や統合失調症など)を起こしやすいとされています。
ここでは、僕の例を挙げますが、おそらく、HSPの人も同じ気持ちになると思われます。HSPでない人にとっても、人間関係のヒントになるのではないかと思います。

家庭

僕は中学生くらいの頃から、親や家族、親戚とすれ違いを起こすようになりました。人によっては些細な出来事かもしれませんが、その時の心のダメージは今でも残っています。

  • 親と親戚が、僕の失敗談や恥ずかしい話しで、ゲラゲラと笑い声を上げて盛り上がっていた
  • 大学受験のとき、僕が決めた志望校に対して、親が怒りを露わにして説明を求めてきた
  • 「どこ行ってきたの?」「何食べたの?」「誰と遊んだの?」と毎日のように聞かれた
  • 自分のやりたいことを話しても、そこに危険があると、その手段を隠されたり、やめるように言われた

親にとっては、ただの雑談、子供自慢、保護、のつもりだったと思いますが、HSPの子供は強く記憶してしまいます。特に思春期以降の過保護は危険で、子供にとっては「監視」や「支配」であり、一生かけても修復できない関係になりかねません。

学校

弱々しい雰囲気を醸し出すHSPの人は、いじめに合いやすいでしょう。
僕の場合は、イジメようとしてくる人はいましたが、同時に守ってくれる仲間が常にいたこともよく覚えています。

  • サッカーの練習試合で、普段仲の良い友達に、悪質なファールを受けた
  • 部活のために、体育館の使用許可をもらいに体育教師のところに行ったら、お前がそんな部で活動してるわけない、とからかわれた
  • 進路相談で、先生に自分の夢を話したら、全く相手にされなかった
会社

人材の競争に直面し、強い劣等感を抱き始めるのが、社会生活の中だと思います。また、社会には、まだまだ理不尽な側面があり、差別的な嫌がらせを受けることもあります。2次障害が発生しやすいのも、この時期でしょう。
しかし、ここでもやはり、守ってくれる人の存在が心に強く残ります。

  • 魅力的な役割だと言われ、引き受けた仕事が、良心を利用した責任転嫁だった
  • それまで普通に仕事をしていた同僚が突然キレだした
  • 自分がやろうとしたやり方に、ああした方が良い、こうした方が良いと口うるさく言われた


振り返ってみると、守ってくれる人、信頼できる人がいるかどうかって、とても大事ですね。
数少ない親友を大切にするというHSPの特徴は、ここから来てるのかもしれません。自分の生存のために、極めて重要な存在なんだと思います。(逆に、家族や親戚とすれ違ったままなのは、そういう理解者がいなかったからなのだと思います。)

嬉しかったこと・感動したこと

HSPは、多くの生きづらさを経験してしまう一方で、すごく小さな、些細なことに感動できる一面があります。
それをなかなか共感してもらえない、もどかしさはありますが、もしそれが肯定できると、自信につながり、将来、大きな功績を上げるとも言われています。

学業

HSPは、自分の内面と向き合い、一人の時間を大切にするので、勉強すれば、学業の成績が上がりやすい傾向があります。僕自身もそうでした。
また、HSPは芸術家や研究者に多いと言われ、その傾向も学業に出てきます。

  • 絵を描くのが得意で、それを見てくれた友達が、すごく褒めてくれた
  • 中学でも高校でも、クラスでトップのテスト結果を出したとき、周りの生徒が讃えてくれた
  • 学業の良さが学年全体にも知れ渡り、特に声を上げなくても、人気者になった
  • 学業を競える友達や、勉強を教えて欲しいと言ってくる友達ができた
  • 東大大学院に合格できた
  • 研究で航海中、辺り一面が海である状況を体感して、地球が水の惑星だと実感できた
  • 航海中の船内に、深海探査船からの映像が届き、全生命の祖先が誕生したとされる場所を見れた
私生活

子供の頃には、誰もが感動する部分があるかもしれませんが、大人になっても、同じような気持ちになれるのがHSPの特徴だったりします。
また、上述しましたが、助けてくれたり、守ってくれた人のことは、その場面も姿も鮮明に覚えています。

  • 遊びに行った田舎で、星空がとても綺麗だった
  • 川で捕まえた魚やエビを水槽に入れて見ると、その姿が美しかった
  • 飼ってる魚や昆虫が成長して、子供を産んだり育てるようになった
  • 親戚や遊びに行った家で飼ってる猫や犬が甘えてきた
  • 小学校で、喧嘩になりそうになったとき、友人が体を張って守ってくれた
  • 小学校で、仲間はずれにされたとき、友人がそれを怒ってくれた
  • 手に包帯を付けて満員電車に乗ったとき、知らないおじさんがスペースを作ってくれた

このブログでも伝えてますが、僕は30歳を過ぎてから、一人旅に出るようになりました。
行き先は、だいたい孤島など自然が多く残っている場所で、自然美に加えて、人間味にも感動したりします。

  • 旅路での孤独がとても怖い分、宿やお店で出会えた人と言葉を交わすと、体全体が安堵感に包まれた
  • ゲストハウスで会った人と、お互いの旅の話をすると、本心で共感できた
  • 同じ一人旅の人が、言葉ではうまく説明できない、自然美からの刺激を求めているとわかると嬉しかった
  • 光害がほとんどない場所で天の川を見た時、宇宙に浮かぶ銀河系の姿をイメージできた
  • カーテンのようにゆらゆらと揺れるオーロラが、頭上に現れ、全身が魔法で包まれたような感覚になった(旅史上最高の感動)


大事なのは、このような感動を大切にすることなのだと思います。
たとえ、周囲に笑われたり、理解してもらえなくても、自分がどんな瞬間に感動できたのか、ちゃんとわかっていれば、それを生き甲斐にして、人生を幸せな方向に変えていくことが出来ます。
子供のうちは、感動を大切にするなんてことは難しいかもしれないので、親や友人が一緒に感動したり、喜んであげることが大事になってきます。そうすれば、忘れずに記憶にもよく残ると思います。

これから、どう生きていくか

HSPという言葉を知った当初は、自分の行動や悩みをズバズバと当てられてしまった衝撃に、怖さや悲しみを感じました。
しかし、社会が理想としてる「できる大人」「できる社会人」「できる男」を無理して目指さなくて良いんだとわかってきて、自分を肯定できるようになりました。
ただ、自分を肯定しすぎるのも危険です。生きづらい世の中ですが、幸せになるためには、時には勇気を出して、知恵を絞らなければいけません。

無理をしない勇気

HSP書物を一通り読み終わって、真っ先に思いついたのが、「無理をしない勇気」でした。それは、「正直に、自分の言葉で断る勇気」とも言い換えられます。

空気を読みすぎて、相手に合わせるあまり、自分に無理をしていたことが、多々あったなと反省しました。飲み会への参加もそうでした。それによって、周りにも自分を誤解させてしまったように思います。
なので、「自分はこういう人間なんだ」というのは、ちゃんと言わなきゃダメなんだと思います。

仕事も同じだと思います。
日本は未だに、残業する人=仕事ができる人、という風潮があります。しかし、それに合わせていたら、いつまで経っても、悪しき文化は変わりません。自分が1日にできる仕事の量を把握して、それ以上は無理だと、主張して良いのです。

場合によっては、理解してもらえないかもしれません。相手の反応によっては、傷つくかもしれません。
それでも、自分を守るために、まずは言ってみることが大事です。
どうしても、通じなかったら、その時は、職場を変えるなりの選択をすれば良いのだと思います。

社会は良い方向に変わり始めている

少しずつではありますが、個人的には、HSPにとっても生きやすいように、社会が変わってきているように思います。

それは、インターネットの力によるものが大きいでしょう。
特にSNSは、一人で過ごしつつも、人との繋がりを適度に保てるような仕組みがあるので、とても便利なツールです。
差別的発言や行動、不正行為なども、SNSですぐに拡散されてしまうので、権力者が横暴に振る舞うようなことがしにくくなっています。

他にも、映画や音楽のデジタル配信、電子書籍など一人で余暇を楽しめるサービスが増えてきました。

また、スマートフォンの普及で、旅をしやすくなったことも好都合だと思います。
僕自身そうですが、自然風景を見ると、とても感動して、体全体が浄化されたような感覚になります。そんな自然が残る孤島や海外にだって、簡単に行けてしまいますので、これを使わない手はないでしょう。
最近、一人旅の方が増えているのも、このためだと思います。

ありのままの自分で生きる

自分に無理せず、幸せを求めて生きていく道を選んだ時、おそらく、周囲の人から見たら、変わってしまったように見えるかもしれません。
どこか子供っぽかったり、弱々しかったり、女々しかったり。
それでも、自分に正直に生きてみる価値は大きいと思うのです。それができたら、きっと、世界は変わって見えるのではないでしょうか。

HSPの人・HSPを理解したい人におすすめの本

最後に、僕が実際に読んだ書物を紹介します。
最初は自己啓発を目的に読んでいたので、ビジネス書が多かったのですが、徐々に心理学の書物を読むようになりました。

アドラー心理学

これは有名ですね。僕も「話題になってるから読んでみるか〜」程度の気持ちで読みましたが、社会生活や対人関係における勇気をくれました。
HSPの人にとって、荷が重いかもしれませんが、幸せのためには、ときには一歩踏み出す勇気が必要です。

米国の作家 スーザン・ケイン

この人のTEDトークはとても有名になりました。これにより、「内向型」や「HSP」という言葉が、世間に知れ渡るようになったと思います。
研究も大事ですが、このような啓蒙活動も大事ですね。この人にはぜひ頑張って欲しいです。
www.ted.com

カナダの心理学者 エレイン・N・アーロン

HSPの提唱者。この人の研究成果が発端となり、スーザン・ケインさんの活動につながりました。
この方のウェブサイトでは、HSPの診断テストを受けることが出来ます。僕は、27項目のうち、25個が該当しました。かなりのHSPです。

日本の精神科医・長沼睦雄

日本で唯一?HSPを研究している医学博士の方です。
HSPは、日本ではほぼ知られていないようなので、この方の活動が重要になってくると思います。

デンマーク心理療法士 イルセ・サン

心理学者アーロンさんのHSP診断テストを、さらに回答しやすく再編集した、HSP診断テストが巻頭にあります。
テストは全部で48の質問があり、点数は、最低-52から最高+140まであり、60以上でHSPの可能性があるそうです。
僕は108点でした。やはり、HSP度はけっこう高いです。