天体写真のための撮影機材 〜大物編/4つの選定基準〜

f:id:planet-odyssey:20151129181501j:plain:w350


僕は昔から宇宙が大好きです。

学生の頃なんかは天文部に入って、でっかい望遠鏡を使って月や惑星を観たり、流星群を観に合宿に行ったりして、素晴らしい宇宙の芸術をたくさん観てきました。

その情熱は社会人になっても変わらず、働いて得た収入で撮影機材を購入し、天体写真を撮るための活動を個人的に続けるのでした。


天体写真を撮るための機材と言うと、高価な重くてゴツい機材をイメージするかもしれませんが、
今は、コンパクトで手頃な値段のものがたくさんありますし、ネットショップでポチっとすれば、わざわざお店に行かなくても自宅に届いちゃいます。


つまり、天文部で活動していなくたって、知識なんか無くたって、「観たい」と思って、あなたがそこそこお金を持っているのであれば、けっこう簡単に天体写真が撮れちゃうんですよ。

と言うと、

「そこそこのお金って、具体的にどれくらいなんだよ」とか、
「安売りしてる望遠鏡なんて、どうせろくなものが観れないニセモノだろ」とか、
「機材っつても、いろいろありすぎてわかんねーよ」とか、
「簡単にと言うけど、それはお前が天文部だったからだろ」とか、

疑いの声が聞こえてきそうですが、今回は、そんな声に、真面目に答えようと思います(たぶんね)。

選ぶポイントは
「持ち運べる」「土星が見える」「追尾できる」「絞りと露出を制御できる」の4つです。

詳しく説明します。


ポイント1:持ち運べる

機材には、カメラ、三脚、望遠鏡、赤道儀など、比較的重いものがあります。
野外で使えなければ意味をなさないので、そのすべてにおいて、持ち運べる重さや形状でなければいけません。

長時間持ち歩く場合は、総重量5kg、スーツケースや車で運ぶ場合は、10~15kgほどが良いです。

ポイント2:土星が見える

これは望遠鏡の条件になります。

「土星が見える倍率!」など、倍率だけをウリにした安価で軽量な、細長い望遠鏡では「鮮明さ」が得られないため、ぼや〜っとした土星しか見れません。土星の醍醐味である「リング」もちゃんと見たいですよね。

そのためには、レンズの直径が、最低でも80mmは必要です。上記の「持ち運べる」条件と合わせると、A80Mfという鏡筒がオススメです。重さは3.5kgです。

ただ、A80Mfは単品では販売されておらず、セット販売のみ(後で紹介します)なので、もし単品で買いたいなら、同じ性能を持ったこちらでもOK。

Vixen 天体望遠鏡 A81M鏡筒 | ビクセン Vixen

焦点距離が910mmなので、5mmのアイピース(接眼レンズ)を使えば倍率は182倍になります。
倍率が180倍を超えれば、土星の輪っかを見ることができます。さらに、土星の輪っかが見える性能があれば、木星の縞模様や、ガリレオ衛星、月のクレーターも見ることができるので、幅広い天体観測を楽しむことができます。

ポイント3:追尾できる

地球は自転しているため、天体は東から西に、1時間で15度のスピードで移動します。秒速にすると、0.0042度です。
とても小さな角度ですが、望遠鏡を覗いた視野「実視界」は、とーーーっても狭いので、ものすごいスピードで天体が移動し、あっという間に消えてしまいます。*1

できれば天体は、視野の真ん中にずっといて欲しいですよね。
そこで、地球の自転と同じ速度で望遠鏡を回転させる赤道儀を使います。オススメはこちら。

ビクセン AP-SMマウント

ビクセン AP-SMマウント

重量は約4kg弱ありますが、従来の機種に比べれば、十分軽く、コンパクトです。

この機種は、Vixenの「持ち運べる」「簡単操作」などをコンセプトにした新しい天体観測機材「APシリーズ」の一つで、個人的には待望の商品です。
Vixen 天体望遠鏡 AP-SMマウント | ビクセン Vixen


また、天体ではなく、星空の写真を撮りたい時は、望遠鏡を使わないので、直接カメラを回転させます。その場合は、ポラリエがおすすめです。

Vixen ポータブル赤道儀 星空雲台ポラリエ(WT) ホワイト 355051

Vixen ポータブル赤道儀 星空雲台ポラリエ(WT) ホワイト 355051

ポラリエは特に新しいわけではないのですが、「持ち運べる」「簡単操作」を持ち合わせていて、ファンには長く愛用されている商品です。
天体望遠鏡の製品一覧 | ビクセン Vixen


そして、ここまでくると、必然的に三脚の機種が決まります。

三脚で大事なのは、望遠鏡やカメラを支え、風に吹かれても動かない、頑丈さです。でないと、天体写真がブレてしまいます。
なので、こればっかりは、軽いものでなく、ある程度の重さが必要です。たいていは、セット販売されているので、その三脚を使えば問題ないです(単品ではあまり販売されることがない)。


赤道儀セット

Vixen 赤道儀 AP赤道儀シリーズ AP-A80M・SM 39987-1

Vixen 赤道儀 AP赤道儀シリーズ AP-A80M・SM 39987-1


ポラリエセット

Vixen 赤道儀 ポータブル赤道儀 星空雲台ポラリエ(WT)184三脚セット 35517-4

Vixen 赤道儀 ポータブル赤道儀 星空雲台ポラリエ(WT)184三脚セット 35517-4


ポイント4:絞りと露出を制御できる

これはカメラの条件です。
天体は、光の量が少ないので、なるべく多くの光を集めるようにして撮影する必要があります。そのため、絞りを小さく、露出を長くする必要があります。

露出はシャッタースピードとも呼び、数分まで設定できると良いです。絞りも、F2までは下げられる性能が望ましいです(絞り値は露出時間によって、多少制限される)。

1眼レフなどのカメラでは、だいたいマニュアルモードで、絞り・露出のコントロールができますが、コンパクトデジタルカメラでは、この2つを制御できるものはほとんどありません。
また、「星空モード」なんて機能がついてることがありますが、露出時間を分単位まで設定できなかったり、露出時間を決まったものしか選べないので注意が必要です。


そんなコンデジ市場で、たぶん唯一?、露出と絞りをコントロールできるのがCanonのPowerShotシリーズです。

僕は、これの数年前の機種ですが、Power Shot S120を使っています(露出は250秒まで、絞りは1.8まで変更可)。

Canonは天体写真家向けの企画を持っているようで、けっこう力を入れています。

 

移動先や目的に合わせて、赤道儀セットかポラリエセットか選ぶ

以上、撮影機材を選ぶ際の4つの基準を紹介しましたが、まとめると、

「赤道儀(AP-SMマウント)セット」と「ポラリエセット」と「PowerShot」があれば、月や惑星、星空など、だいたいの天体写真を、綺麗に撮影することができます。

「赤道儀(AP-SMマウント)セット」は月や惑星を撮れる性能がありますが、総重量が15kgほどあるので、持って行ける場所に限りがあります。

「ポラリエセット」は星空専用で、月はカメラのズームで多少拡大できますが、惑星を撮影することはできません。しかし、総重量が5kgほどなので、大体どこにでも持っていけます。

僕は、両方のセットを持っているので、移動先によって、どちらのセットにするか決めています。

海外旅行や登山の場合は、飛行機の手荷物には預けられなかったり、自分で背負って運ぶシーンがあったりするので、「ポラリエセット」を持っていきます。
国内の車や船で移動できる場合は、「赤道儀セット」を持っていきます。


中古がおすすめ

機材の値段が気になる場合は、ヤフオクなどで中古品を手に入れるのが良いです。

また、カメラは一つ古い機種にするのも手です。僕は、2年前に発売されたPowerShot S120(Canon デジタルカメラ PowerShot S120(ブラック) F値1.8 広角24mm 光学5倍ズーム PSS120(BK))を使ってますが、天体写真を撮るには十分な力を発揮してます。

また、こういう機材は壊れたり、旅行先では盗まれたりします。そういう時に精神的ダメージを軽くする意味でも、中古品がおすすめです。



今回は、天体写真を撮るための撮影機材を、比較的重量のあるものを中心に紹介しました。
次は、軽量パーツについて紹介します。
planet-odyssey.hatenablog.jp

*1:実視界の角度は「アイピースの見かけ視界÷倍率」で算出できます。 例えば、「見かけ視界」45度のアイピースを使い、182倍で天体を見た時、実視界は、45÷182=0.25度になります。つまり、天体が望遠鏡の実視界の右端から左端に移動するのに、0.25÷0.0042=59秒、およそ1分、それ以上経つと視界から消えてしまいます